死んだ目をした高校の先生
こんにちは。
こんなにも長いこと家の中にいるとやることも尽きてしまって、ぼんやりいろんなことを考えたりしています。
何を考えているかというと、考えるというよりも、最近高校の先生のことをよく思い出します。元気かなあと。
2、3年生で担任を持ってくれた先生は、少し変わった人でした。
無愛想でいつも死んだ魚みたいな目をしていて、(笑)淡々とした人です。
2年生になったばかりの私は新しく担任になった先生を見て、なんで先生になったんだ?とまで思いました。
高校生の時の私はお世辞にもいい生徒とは呼べないタイプだったと思います。
ダメと言われているのに髪を染めて化粧をして、毎週のように遅刻して。ヘラヘラと過ごしていました。
それでも一応悩みはありました。
中学生の時から、いや、父がこの世を去ってから、寝付きが悪くなってしまいました。
ひどい時には日付が変わる前に布団に入っても一晩中寝られず、一睡もせずに定期テストを受けたこともありました。
だから本当は遅刻する時はいつも、寝たくても眠れなかった時で、一応自分の中では理由なく遅刻したことは一度もありませんでした。
それでも私の性格上、チャラチャラヘラヘラとしていたので友達に心配かけたくもなく、さぼり〜なんていつも適当に嘘をついていました。
実は染めていた頭も、はじめは白髪を隠すためでした。これまた父の他界からのショックで頭が白髪だらけになってしまって、流石に恥ずかしくて美容院で毎月染めてもらっていました。
でもそんな事情も知らない先生からしたらたまったもんじゃなかったでしょう。注意しても注意しても毎月頭を染めてくる生徒なんて。。(笑)素直に事情を話せば先生たちも見方を変えてくれたと思いますが、どうせ先生なんて、と思っていたので、毎月怒られるならいっそのこと地毛より明るくしちゃえ、なんて思って派手な色に染めたこともありました。はい。典型的な反抗期でした。
身なりも悪い、遅刻ばかりするなんて先生からしたら最悪のコンボです。入学して半年もせずに頭髪検査に引っかかって校門で怒鳴られたり、放課後呼び出されたりなんてザラでした。
どんな先生も口を揃えて直せ直せ。私だって白髪がなければ髪も染めないし、難なく寝付ければ遅刻だってしないのに。事情も知らない先生たちが怒るのは今思えばごく当たり前のことで自分が悪いのですが、当時の私は完全にヘソを曲げていました。
高校2年生の夏休みの三者面談。まーた怒られるのか、なんて思いながら向かいました。
内容は進路相談。私は勉強だけは一応頑張っていたので、成績は学年1位をいつももらっていました。指定校推薦で行きたい学科があったけど、こんな生活態度じゃ無理だと諦め切っていました。一応その旨を伝えると、予想外の言葉が返ってきました。
「もうちょっと落ち着いてさえくれれば、私は推薦しますよ、いい子ですよ」と。
先生なんてみんな外見しか見てないと思ってました。ましてやこの生徒に無関心そうな担任の先生なんて尚更。でもその先生は違いました。
私が友達と話してる様子、勉強の取り組み方。頑張ってることを評価してくれました。勝手に私たちに関心なんてないんだろうと決め付けていただけで、実はちゃんと生徒のことを見てくれてたんだと気づきました。
それから私は担任の先生は他の先生たちとは違うと思うようになりました。この先生なら、と思って2年生の冬前、思い切って眠れないことを担任の先生に話してみました。
先生はただうなずいて、特に何かアドバイスを押し付けたりすることもなく、ただただ私の話を聞いてくれました。私が言えば空いてる時間を作っていつでもいろんな話の相手をしてくれて、何時間でも一緒にいてくれました。
いろんなことを語ってくれる先生は今までいくらでもいました。でも、何も言わずに何時間も話を聞いてくれる先生は初めてでした。
先生はそれから、私の遅刻が多くなると心配してくれたり、休みの日も連絡すれば必ず返してくれたり、進路相談のために春休みも時間を作ってくれたりしました。
この先生のお願いなら聞こう。そう思いました。それから私は髪も地毛と同じくらいかそれより暗い落ち着いた色に染めるようになり、指導されることも減りました。遅刻もなるべくしないように頑張りました。
そしてなんとか周りの先生たちからの信頼も取り戻して、3年生の秋には指定校推薦で行きたかった学科への進学を決めることができたのです。
その先生とは高校を卒業した今も連絡を取ったり、私が高校の近くに行った時は立ち寄って会ったりしています。
無愛想でいつも淡々粛々としていた担任の先生は、ノリがいいわけでも授業を早く終わらせてくれるわけでもなくて、どんな生徒からも好かれるようなタイプではなかったかもしれません。それでも私が今まで出会った先生の中で一番私のことをわかろうとしてくれて、世話を焼いてくれた先生でした。
2年間面倒を見てくれたこと、進学させてくれたことをとても感謝しています。
コロナが収束してまた外で人と会えるようになったら、久しぶりに高校に遊びに行ってみようかなと、楽しみにいま過ごしています。